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2026年までのタイムリミット:日本の銀行・証券口座が「非居住者ハンター化」する前にやるべき資産防衛策3選

2026年から「グレーでは乗り切れない時代」になります

結論から言うと、
2026年以降は「日本にも海外にも口座を散らしつつ、グレーな申告で逃げ切る」というやり方が通用しにくくなる時代になります。
なぜかというと、
- 日本の銀行・証券口座が「非居住者ハンター」に変身する
- CRS(共通報告基準)とCARF(暗号資産の国際報告枠組み)が本格稼働する
- 暗号資産の税制も「20%の分離課税」へと大きく変わろうとしている
からです。
ですので、
この記事では投資初心者の方にも分かるように、
- 2026年から何が変わるのか
- 海外資産・暗号資産が「見える化」される仕組み
- 今からやるべき資産防衛策3つ(守り・攻め・転換)
この流れで、一気に整理していきます。
そして最後に、どう行動に落とせばいいか、もう一度まとめます。
※本記事は一般的な情報であり、具体的な税務判断は必ず税理士など専門家にご相談ください。
第1章 2026年1月1日に何が起きるのか?

1-1 日本の金融機関が「非居住者ハンター」に変わる理由
まず押さえておきたいのが、2026年1月1日が金融機関側の“締切日”になっているという点です。
国税庁のCRS関連の改正により、
日本の銀行・証券会社・一部のフィンテック業者は、
- その人がどこの国の居住者か
- その国での納税者番号(TIN:Taxpayer Identification Number)
を、システム上きっちり取得・管理することが求められます。
日本国内で言えば、
- 日本居住者 → マイナンバー
- 非居住者 → 居住国ごとの納税者番号
を、「できれば教えてください」ではなく「出してください(義務)」に近いレベルで求められていくイメージです。
もしここで、
- 納税者番号を出さない
- 居住国の申告をあいまいにする
- 必要書類の提出を無視する
といった対応をしてしまうと、
「非協力的な非居住者」としてマークされ、報告対象になりやすくなると言われています。
その先には、
- 口座機能の制限
- 凍結
- 場合によっては強制解約
といったリスクまで視野に入ってきます。
ですので、
「黙っていればなんとかなるでしょ」という感覚は、
2026年以降はかなり危険ゾーンに入ると考えた方が安全です。
1-2 報告対象は「銀行・証券」だけでは終わりません
今回の改正で、もう1つ大きなポイントがあります。
それは、報告対象の「資産」と「業者」の範囲が広がることです。
今までは主に、
- 銀行預金
- 証券口座
が中心でしたが、今後は
- ステーブルコイン
- 電子マネー
- 資金移動業者
- 電子決済サービス(例:Wise、Revolut など)
といったフィンテック系のサービスも、報告義務の対象になっていくとされています。
つまり、
「日本の銀行は気をつけてるけど、
海外のフィンテック口座とステーブルコインなら、まだバレないでしょ」
という感覚は、これからどんどん危ない方向に寄っていく、ということです。
1-3 「二重居住者のグレーゾーン」が狭くなる
さらにもう1つ、地味に効いてくるのが二重居住の扱いです。
これまでは、
- 日本に住民票を残しつつ
- 実態としては海外に長く住んでいる
というケースで、条約上の「どちらの国を税務上の居住地とみなすか」という振り分けルールがありました。
このルールのおかげで、
- 「日本の全世界課税の対象からは外れたい」
- 「海外側の居住者として扱ってほしい」
といったグレー寄りの調整が比較的しやすかった面もあると解説されています。
ところが今回、その振り分け規定が削除される方向になっていて、
- 日本と海外の両方で「居住者」とみなされる可能性
- 両国とも情報交換の相手として扱うパターン
が増えてもおかしくない状況です。
要するに、
「日本にも海外にも中途半端に足を残しておく」
というスタイルは、今後ますます税務上のリスクが上がっていくと考えた方が無難です
第2章 海外資産と暗号資産は「見える化」される時代へ

2-1 FATCA → CRS → CARF:歴史の流れ
この“見える化”は、ある日突然始まったわけではなくて、流れがあります。
ざっくり並べると、こんな感じです。
- 2010年:FATCA(アメリカ)
→ アメリカ人の海外口座情報を、世界中の金融機関から吸い上げるルール - 2014年:CRS(共通報告基準)誕生
→ OECDとG20が承認
→ アメリカ以外の国も含めた「世界標準の口座情報自動交換ルール」 - 2017〜2018年:日本も参加
→ 日本は国内法を整備し、2018年から他国との自動情報交換をスタート - 2022年ごろ:暗号資産版の国際ルール「CARF」策定
- 2023年:日本を含む48カ国・地域がCARF導入に賛同
- 2026年:各国の税務当局が暗号資産の情報把握を本格開始
- 2027年:CARFに基づく暗号資産の初回情報交換スタート予定
この流れを一言でまとめると、
「海外資産も暗号資産も、“見えない”前提で動くのは、
もうかなり危ない時代に入っている」
ということです。
2-2 暗号資産も「海外取引所だからセーフ」ではなくなる
CARFのポイントは、暗号資産サービス提供者(取引所など)のデータが税務当局同士で交換されるという点です。
イメージとしては、
- 取引所 → 各国の税務当局に利用者データを提供
- 各国の税務当局同士が、その情報を交換
- 非居住者の口座も、情報の共有対象になる
という流れです。
ですので、
- 「海外取引所だから大丈夫」
- 「ハードウェアウォレットに移せば完全に見えなくなる」
という発想だけに頼るのは、
これからの数年ではリスクが高くなる、ということを意識しておいた方がいいです。
技術的・運用的に“穴”がゼロになるわけではないですが、
「隠す前提」ではなく「見せられる前提」で設計しておく方が、長期的には安全です。
第3章 暗号資産税制も大きく動く:「20%分離課税」への流れ

3-1 暗号資産は株式・投信と同じ「20%分離課税」へ?
動画の中では、日経新聞の記事にも触れつつ、
「暗号資産の所得を、金額にかかわらず一律20%の申告分離課税にする方向で、政府与党が調整に入っている」
という話が紹介されています。
イメージとしては、
- 現状:
→ 暗号資産の利益は「雑所得」で総合課税(最大55%) - 将来:
→ 株や投資信託と同じく「20%分離課税」へ近づける方向
という形です。
これが実現すると、
- 税率が下がる
- 損益通算や繰越控除などの扱いも、今より使いやすくなる可能性
が出てきます。
その一方で、
- 暗号資産も「完全ホワイトな金融商品」として本格的に監視・管理されやすくなる
という側面もあるわけです。
3-2 利益確定は「あわてず、戦略的に待つ」スタンスが大事
今(動画収録時点)はビットコインも大きく調整していて、
どうしても「不安で売りたくなる」局面が多くなります。
ですが、
- 税制が「高税率の総合課税」から「20%分離課税」へ変わる
- 国際ルール(CARF)が本格稼働するのは2026年〜2027年
という時間軸を考えると、
「今このタイミングで、感情に任せて売買を繰り返すのは、
税金面でも戦略面でもあまり得策ではないかもしれない」
というのが動画のトーンです。
ですので、暗号資産については、
- どの銘柄を
- どの税制のタイミングで
- どのくらいの量を利確するのか
を、**“戦略として決めておく”**ことが大事になってきます。
もちろん、短期売買を全部やめろ、という話ではなくて、
- 生活防衛資金
- 中長期で育てる資産
- 攻めのリスク資産
を分けて考えながら、税制変更のスケジュールもカレンダーに入れておくくらいのイメージがいいと思います。
第4章 今すぐ考えたい資産防衛策3選(守り・攻め・転換)

ここからが、実際に行動に落とし込むパートです。
動画では、対策を分かりやすく**「守り・攻め・転換」**の3つに整理していました。
4-1 守り:銀行・証券・暗号資産の「ホワイト化」を進める
まずは一番大事な「守り」です。
やることはシンプルで、
- 自分の資産を、自分がちゃんと把握する
- そのうえで、各国のルールに沿って“見せられる状態”に整えておく
ということです。
具体的には、
- 日本国内の銀行口座・証券口座の残高を整理
- 海外口座・フィンテック口座(Wise・Revolutなど)の一覧を作成
- 暗号資産(取引所・ウォレット)の保有状況を一覧化
- どの国に住んでいて、どの国で納税者番号(TIN)を持っているかを整理
こういった作業を、紙でもExcelでもいいので「見える化」しておくことからスタートです。
そのうえで、
- マイナンバーや各国のTINの提出依頼には、基本的に応じる
- 過去の申告漏れが疑わしい場合は、専門家に相談して整理を検討する
ここをサボると、2026年以降に
- 「非協力的な非居住者」
- 「口座凍結や解約リスクがある顧客」
というラベルを貼られかねません。
ですので、守りの第一歩は**“ホワイト化”**と覚えておくのが分かりやすいです。
4-2 攻め:暗号資産の税制変更を見据えて「戦略的待機」
次は「攻め」の視点です。
暗号資産に関しては、
- 税制が「20%分離課税」の方向に動いている
- 国際的な監視(CARF)は2026〜2027年にかけて本格化する
という2つの時間軸があります。
ですので、
- 今は暴落局面でも「全部投げる」のではなく
- 税制変更と自分のライフプランに合わせて、
「どこで利確するのが一番合理的か」を考える
こういう**“攻めない勇気”**がむしろ重要になってきます。
とはいえ、
含み益が大きくなりすぎて夜眠れないようなら、
- 一部を利確してリスクを落とす
- 税率が高い間でも分散して売る
といった現実的な落としどころも必要です。
大事なのは、
「税金がもったいないから、何も考えずにずっと放置」
ではなく、
「税制・居住国・相場環境をセットで見ながら、
どこでどう動くか筋書きを作っておく」
ということです。
4-3 転換:居住国・資産の置き場所・出口戦略を中長期で設計し直す
最後は「転換」、いわゆる出口戦略の再設計です。
動画では、
- ロンドン在住で日本帰国を検討している方
- 年金や海外不動産の売却益を、どこで・どう受け取るのがベストか悩んでいる方
といった具体的な相談も紹介されていました。
ここで大事なのは、
- 税率だけで判断しないこと
- 人生のフェーズ・家族構成・健康・仕事とのバランスも含めて考えること
です。
たとえば、
- 「ドバイに2年だけ移住して、非課税で年金をまとめて受け取る」
- 「その後、日本に本帰国する」
といった選択肢も、理論上はあり得ます。
ただし、
- 移住コスト
- 生活環境
- 家族との距離
- 将来の日本の税制変更リスク
などを全部ひっくるめて考える必要があるので、
ここはプロと一緒にケースバイケースで設計する領域です。
大切なのは、
「なんとなく日本に戻る」
「なんとなく海外に出る」
ではなく、
- どのタイミングで
- どの国を居住国にして
- どの資産をどこで売却・承継するのか
を、**“ざっくりでもいいから設計図として描いておく”**ことです。
それだけでも、
2026年以降の大きな制度変更で慌てるリスクは、かなり下がります。
まとめ:ホワイト化+戦略的待機+出口設計で「見せながら守る」時代へ

最後に、この記事のポイントをもう一度ぎゅっとまとめます。
- 2026年1月1日から、日本の銀行・証券口座は「非居住者ハンター化」します。
居住国と納税者番号(マイナンバー・TIN)をはっきり出さないと、非協力的な顧客として扱われるリスクが高まります。 - CRSとCARFにより、海外口座や暗号資産は「見える化」が一気に進みます。
銀行・証券だけでなく、ステーブルコイン・電子マネー・送金アプリ・海外取引所も、情報交換の網に入っていきます。 - 暗号資産の税制は「20%分離課税」へ向けて動いており、税金面では追い風になりつつあります。
だからこそ、今の暴落局面で感情的に売るのではなく、戦略的に「待つ」という選択肢も視野に入れておく価値があります。 - 今やるべき資産防衛策は「守り・攻め・転換」の3つです。
- 守り:銀行・証券・暗号資産のホワイト化(正しい申告・番号提出)
- 攻め:税制変更を見据えた暗号資産の戦略的待機
- 転換:居住国・資産配置・出口戦略の中長期設計
これからの時代は、
「隠して守る」から
「見せながら守る」へ
発想を切り替えた人ほど、長期的には楽に生きやすくなります。
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