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【暗号資産完全包囲!?】海外取引所もついに捕捉されます!国税庁の暗号資産報告枠組み(CARF)始動

私はYouTubeで2,000日以上 朝活で暗号資産や投資の情報発信をしている投資家です。またリアルでは証券外務員資格を持ち、証券会社で年間5,000件以上の国内株取引をサポートしている証券マンでもあります。
今回は、海外取引所を利用している投資家からの質問が多い、国税庁の暗号資産報告枠組み(CARF)について、国税庁のガイドラインから大事な部分を厳選し、丁寧に解説します。
読み終えるころには、必要な知識、そして今後の準備や作業の流れが自分の言葉で説明できるようになります。
あなたの大切な資産を守るために、情報をアップデートして、一緒に“正しいフォーム”を身につけていきましょう。
海外取引所も含めて「暗号資産は世界中で見える化される時代」

最初に結論からお伝えします。
これからの暗号資産は、「海外だからバレない」「暗号資産だから追えない」という時代ではなくなる可能性が高いです。
- 海外取引所での取引も
- 国内取引所での取引も
- 非居住者(海外在住者)の取引も
各国の税務当局どうしが、CARF(暗号資産等報告枠組み)というルールに基づいて、情報を自動でやり取りしていく流れになっていくのです。
なので、投資家としては
「どうせバレないから申告しなくていいです」ではなく、
「どうせ見られている前提で、最初から正しく申告する」
というスタンスがとても大事になります。
ここからは、その理由をやさしく噛み砕いてお話ししていきます。
CARFは「世界の税務署どうしで、暗号資産の成績表を見せ合う仕組み」

CARFとは何かを簡単に言い換えると
CARF(Crypto-Asset Reporting Framework)は、OECDという国際機関が作った、暗号資産取引の情報を各国でやり取りするための共通ルールのことです。
学校のテストでたとえてみます。
- 以前は、クラスごとにテストの成績を持っていて、他のクラスには見えなかったです。
- でもカンニングや不正が増えたので、学年全体で成績を共有することにした、そんなイメージです。
このときの「学年全体」が世界の税務当局です。
そして「成績表」が、あなたの暗号資産の取引情報です。
なぜわざわざそんな仕組みを作るのか?
一言でいうと、国際的な脱税や税逃れが増えてきたからです。
- 「日本に住んでいるけど、海外取引所なら日本には分からないはずです」
- 「ウォレットで海外に移せば追えないはずです」
こうした考えで、意図的に税金を逃れようとする動きが、世界的に問題になってきたからです。
そこで各国が協力して、
「暗号資産の取引情報をお互いに自動で交換しよう」
というルールを決めたのが、CARFというわけです。
CARFでどんな情報がやり取りされるのか

実際に、どんな情報が各国の税務当局でやり取りされるのかを整理します。
代表的なものは次のとおりです。
- 暗号資産の利用者の「氏名」と「住所(または名称・所在地)」です。
- どこの国の税務上の居住者なのか(居住地国)です。
- その国での「納税者番号」(マイナンバーではなく、海外で税金の手続きに使う番号)です。
- どの暗号資産を扱ったのか(BTC、ETHなどの種類)です。
- その年にいくら分の暗号資産を売ったか、買ったか、移転したかの合計額です。
これらの情報を、
- まず取引所などの「報告暗号資産サービス・プロバイダ」が集めます。
- それを各国の税務当局に報告します。
- 税務当局どうしが、居住地国に応じて自動で情報交換します。
こうやって、「誰がどの国でどれくらい暗号資産を動かしているか」が見える化されていく仕組みになっていくのです。
日本でのCARF関連スケジュールはこのような流れです

次に、「いつから自分に関係してくるのか」という話です。
ざっくりイメージしやすいように、流れだけ押さえておきます。
日本でのざっくりとした動き
- 2026年(令和8年)1月1日以後
暗号資産取引を行う人、または2025年末時点で取引している人は、
取引所などに対して**「自分の居住地国名などを記載した届出書」を出す必要**が出てくる予定です。 - 2027年(令和9年)以後
国内の暗号資産交換業者などは、
特定の非居住者に関する暗号資産取引情報を、毎年4月30日までに税務署へ報告することになる予定です。 - 税務署に集まった情報は、
租税条約などに基づき、各国の税務当局と自動的に交換されていく予定です。
イメージとしては、
「2026年からは、取引所に自分の居住地国などをきちんと申告する時代になり、
その情報をもとに、2027年から各国どうしの“暗号資産の成績表”交換が本格スタートしていきます。」
という流れだと考えていただくと分かりやすいと思います。
届出を出さない・ウソを書くとどうなるのかというリスク

ここが一番、「同じ失敗を繰り返してほしくないポイント」です。
CARF関連の制度では、例えば以下のようなケースが問題になります。
- 新しく暗号資産の取引をするときに、届出書を出さないです。
- ウソの住所や居住地国を書いて出すです。
- 意図的に納税者番号を間違えて書くです。
こういった行為をすると、罰則の対象になる可能性があります。
法律上は、
最長6ヶ月の拘禁刑または50万円以下の罰金
が決められているとされています。
もちろん、すべてのケースでいきなりそこまでという話ではないですが、
「バレないだろうです」と軽く見るのは、かなり危険です。
ここで大事なことは、難しい条文を全部覚えることではなく、
- 「届出書をサボらないこと」です。
- 「ウソを書かないこと」です。
この2つだけは、しっかり守るという意識を持っておくことです。
日本在住Aさんが海外取引所を使っているケース

ここからは、具体的なイメージをつかむために、例を使って説明します。
ケース1:日本に住んでいて、A国の海外取引所でトレードしているAさん
- Aさんは日本在住のサラリーマンです。
- 海外のA国にある暗号資産取引所で、ビットコインなどを売買しています。
- 心の中では「日本の税務署には分からないはずです」と思っています。
しかし、CARFが動き出すと、次のような流れになります。
- AさんがA国の取引所で暗号資産を売買します。
- A国の取引所は、Aさんの取引情報と居住地国の情報をA国の税務当局に報告します。
- A国の税務当局は、「Aさんは日本居住」と分かっていれば、
日本の国税庁に対して、その情報をまとめて提供することになります。
つまり、海外取引所での動きも、日本側に情報が届く可能性が高くなるということです。
「海外だから、ウォレットだから、DEXだから追えないです」
という考え方は、どんどん危ない方向になっていくと考えた方が安全です。
B国に駐在中で、日本の取引所を使っているBさん

次は逆のパターンです。
- BさんはB国に駐在中の日本人です。
- 引き続き、日本の暗号資産取引所の口座を使って売買しています。
- 税務上は、B国の居住者という扱いです。
この場合のイメージは次のようになります。
- Bさんは、日本の取引所に居住地国として「B国」を届出する必要が出てきます。
- 日本の取引所は、Bさんの取引情報を日本の税務当局に報告します。
- 日本の税務当局は、Bさんの居住地国であるB国の税務当局に、その情報を提供します。
このように、
「日本の取引所だから日本だけを気にしていればいい」
という話ではなくなるのです。
海外駐在や海外移住をしている方は、
- 税務上、どの国の居住者なのかです。
- どこの国に納税義務が発生するのかです。
ここを、税務署や税理士としっかり確認しておくことがとても重要になります。
CARFを「共通ポイントカード」にたとえてみる

さらにイメージを固めるために、CARFをポイントカードで例えてみます。
- いろいろなお店(世界中の暗号資産取引所)で買い物をします。
- どの店でも同じポイントカードを使うイメージです。
- そのポイント履歴が、全部ひとつのサーバー(各国の税務当局)に集まります。
- 必要なときに、特定のお店(あなたの居住地国の税務当局)がその履歴を見られる状態になります。
つまり、
どこの店(どの取引所)で取引しても、
最終的には「誰がどれだけ動かしたか」がまとめて見える状態になっていくのです。
こう考えると、
「どこで取引したか」よりも、**「どう申告するか」**が重要な時代になっていく
ことが分かると思います。
投資初心者がやりがちなNG行動と、その回避策

ここからは、投資初心者の方に特にお伝えしたいポイントです。
「これはやってはいけないです」という行動と、その対策をセットで紹介します。
NG①:「少額だから申告しなくてもバレないはず」
気持ちはすごく分かります。
ただ、この考え方はかなり危険です。
- 少額でも、税法上は申告が必要な場合があります。
- CARFによって、少額でも情報が共有される可能性が高まります。
「少額だから放置でいい」という判断は、自分ではしない方が安全です。
対策:
- まず自分で、今年の取引で利益が出ているかどうかをざっくり把握することです。
- 不安な場合は、税務署の相談窓口や税理士に聞いてみることです。
これだけでも、同じ失敗を繰り返すリスクをかなり下げることができます。
NG②:「海外取引所を使えば日本には分からないはず」
これは、まさにCARFが標的にしているパターンです。
- CARFは、非居住者の暗号資産取引情報を各国で交換するためのルールです。
- つまり、海外取引所の情報も、あなたの居住地国にどんどん届いていく流れになっていきます。
対策:
「どうせ分かる」前提で、最初から正しく申告するつもりで取引をすることです。
そのためには、
- 取引履歴をしっかり残すことです。
- ウォレットへの出し入れもメモしておくことです。
この2つを習慣にするだけで、将来の自分をかなり助けることになります。
NG③:取引履歴をほとんど残していない
これは、あとから本当に困るパターンです。
- どの取引所で、いつ、どの銘柄を、いくらで売買したのかです。
- どのウォレットに、どれくらい移したのかです。
こういった情報が残っていないと、正しい申告がほぼ不可能になります。
対策:
- 各取引所の「取引履歴ダウンロード」を、定期的に行うことです。
- エクセルや家計簿アプリにまとめておくことです。
- 取引回数が多い人は、暗号資産の損益計算ツールの利用も検討することです。
「今の自分のため」ではなく、
「数年後の自分を助けるメモ」
だと思って、サボらずに残しておくことをおすすめします。
今からやっておきたい3つの準備

最後に、CARF時代に備えて、投資初心者の方でもできる3つの具体的な準備をまとめます。
① 取引所に登録している「居住地国・住所」を最新に保つことです
- 引っ越しをしたときです。
- 海外転勤や海外移住をしたときです。
- 生活の拠点が変わったときです。
こういったタイミングで、取引所の登録情報を放置しないことがとても大切です。
古い住所や間違った居住地国が登録されたままだと、
あとで余計に説明が大変になる可能性があります。
② 取引履歴を「未来の自分へのプレゼント」として保存することです
- 取引所から定期的にCSVをダウンロードすることです。
- ウォレットの送金・受け取りも、簡単でいいのでメモしておくことです。
- 年に一度は、自分でざっくり損益状況を確認してみることです。
最初は面倒に感じるかもしれませんが、
税務調査や確定申告のとき、これがあるかないかでストレスが天と地の差になります。
③ 判断に迷ったら、税務署や税理士に相談することです
この記事の内容は、
「制度のイメージをつかんでもらうため」の解説であって、個別の税務判断ではないです。
実際に、
- どの国の居住者と見なされるのかです。
- どの国で申告すべきなのかです。
- どこまでが課税対象なのかです。
こういった点は、あなたの状況によって変わります。
最終的な判断は、必ず税務署や税理士などの専門家に相談して決めていただくことをおすすめします。
国税庁の公式サイトにもCARF関連のページがありますので、
より詳しく知りたい方は、公式情報も合わせて確認してみてくださいです。
まとめ:ルールを知って、堂々と暗号資産投資を続けていく準備をしましょう
あらためて、この記事のポイントをまとめます。
CARFは、暗号資産の国際的な脱税を防ぐために作られた、各国の税務当局どうしで情報を自動交換する枠組みです。
日本でも、届出書の提出や情報報告の制度が整備され、2026年以降、順次動き出していく流れです。
海外取引所を使っていても、居住地国の税務当局に情報が届く可能性が高くなっていきます。
だからこそ、「海外だから」「少額だから」ではなく、**「どうせ見られている前提で、最初から正しく申告する」**という姿勢が何より大事です。
そのために大切なのは、次の3つです。
- 取引所の登録情報(居住地国・住所など)を最新に保つことです。
- 取引履歴やウォレットの動きを、将来の自分のためにしっかり保存しておくことです。
- 判断に迷うところは、税務署や税理士など専門家に相談しながら進めることです。
暗号資産は、うまく付き合えばおもしろくて可能性のある資産クラスです。
CARFは、投資家を締め付けるだけの仕組みではなく、ズルをする人を減らして、真面目にやる人が損をしないようにするための仕組みとも言えます。
そして、CARFのような国際ルールとあわせて、日本国内の税金のルールを理解しておくことも同じくらい重要です。
とくに、仮想通貨ビットコインの確定申告については、
こちらの記事も並行して読んでおくことで、
「いつ・どのくらい税金がかかるのか」「どんな取引が課税対象になるのか」といった基礎を、落ち着いて整理できるようになります。
CARFという“世界のルール”と、ビットコイン確定申告の“日本のルール”。
この両方をしっかり理解しておくことで、
ルールを知って、正しく、堂々と。
長く生き残れる暗号資産投資家を一緒に目指していきましょう。

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