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「政治のニュースは複雑で、日々の業務に追われてなかなか追いきれない」
「選挙結果が、自分の給与や資産にどう影響するのか、正直ピンとこない」
多忙な毎日を送る人の多くが、そう感じているのではないでしょうか。
しかし、先日行われた参議院選挙の結果、日本の政治は大きな転換点を迎えました。
そしてこの変化は、私たちの経済活動、ひいては将来の資産形成、特に「暗号資産」や「Web3」といった新しいテクノロジーの未来に、無視できない影響を及ぼす可能性があります。
今回の選挙で、長年政権を担ってきた自民党と公明党の連立与党は、いわゆる「少数与党」という立場になりました。
これは、企業のプロジェクトで例えるなら、このような状況です。
【例え話】プロジェクトリーダーが主導権を失った!?
これまで、プロジェクトリーダー(与党)は、自分のチームメンバーだけで多数派を形成していたため、「この方針で進めます」「はい、決定」と、迅速に意思決定ができました。
しかし、今回の選挙という名の「組織改編」でメンバーが減り、チーム単独では過半数を確保できなくなってしまったのです。
そのため、これからは他の部署やチーム(野党)に対して、「この方針で進めたいのですが、ご協力いただけないでしょうか?」と、丁寧な根回しや交渉をしなければ、プロジェクトを前に進めることができない状況になりました。
これが「少数与党」です。つまり、国の重要な政策決定に時間がかかったり、これまでとは異なる方向性の結論が出たりする可能性が高まった、ということです。
この記事では、
という3つのポイントを、イメージしやすいように例え話を使いながら解説していきます。
(※本記事は、政治経済の情報提供を目的としており、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。資産運用に関する最終的なご判断は、ご自身の責任において行ってください。)
今回の選挙の要点を、5つのポイントに絞って整理します。
前述の通り、自民党・公明党の連立与党は、衆議院・参議院の両方で過半数を失いました。これにより、法案や予算案の可決には、野党の協力が不可欠となり、政権運営の難易度は格段に上がりました。
与党が議席を減らす一方、野党では新たな勢力が大きく議席を伸ばしました。
対照的に、野党第一党の立憲民主党は与党批判の受け皿とはなりきれず、議席を微減させる結果となりました。
選挙の敗北を受けながらも、石破総理は「比較第一党の責任」などを理由に続投の意思を表明しました。しかし、党内からは執行部の責任を問う声が強まっており、今後の「石破おろし」の動きや、それに伴う自民党総裁選、ひいては衆議院の解散総選挙といった政局の流動化が意識される展開です。
政権運営が苦しくなった与党からの協力要請に対し、国民民主党や日本維新の会など、主要な野党は現時点での連立を明確に否定しています。当面は、個別の法案ごとに政策単位で是々非々の協力関係を模索していくことになりそうです。
今回の選挙では投票率が前回を大きく上回りました。物価高など生活に直結する争点への関心の高まりに加え、SNSを通じてこれまで選挙に関心の薄かった層が動いたことも一因と考えられます。
さて、ここからが本題です。
この政治の地殻変動が、なぜ暗号資産の未来に深く関係するのでしょうか。
その答えは、今回躍進した新しい野党勢力が、暗号資産やブロックチェーンに対して、これまでの政権とは一線を画す、非常に前向きで具体的な政策を掲げている点にあります。
各党のスタンスを、企業の「事業方針会議」に例えて見てみましょう。この会議の議題は「我が社の次期成長戦略における、AIとWeb3(ブロックチェーン技術)の位置づけについて」です。
【自民党・公明党(現・経営陣)】
「AIやWeb3は我が社の成長戦略の重要な柱である。今後も積極的に推進していく方針に変わりはない」
【国民民主党(勢いのある改革派チーム)】
「暗号資産の利益にかかる現行の税制は、海外の競合他社に比べて著しく不利であり、事業成長の明らかなボトルネックだ。優秀な人材も技術も海外に流出している。早急に分離課税20%に改め、国際競争力を確保すべきだ」
【参政党(大胆な新規事業提案チーム)】
「税制改革という既存事業の改善だけでは不十分だ。企業体力を強化するため、IR戦略として、企業資産(バランスシート)の一部にビットコインを組み入れることも検討すべきだ。これはグローバルな潮流であり、真のデジタル先進企業への道だ」
【チームみらい(技術顧問的エキスパートチーム)】
「そもそも、我が社の経費の流れはブラックボックス化している。これをブロックチェーン技術で管理し、資金の流れを完全に可視化・効率化するシステムを導入すべきだ。技術的な実装は我々が主導できる」
今回一気に議席を増やした、国民民主党と参政党は暗号資産に積極的な発言をしています。
更に、個人的に期待しているのがチームみらい党首の安野氏が当選しているのも大きいと思っています。
チームみらい党首の安野氏は東京大学工学部システム創成学科でAIや機械学習を学びAIエンジニアとして数多くの実績を残しています。これからの日本のインフラをはじめ、AIやテクノロジーには、こういった専門家がいるのはとても心強いと言えますよね。
これまでの与党主導の安定政権下では、良くも悪くも、暗号資産に関するルール変更は慎重に慎重を重ね進められてきました。
確かに、その徹底したリスク管理は、2022年のFTX破綻時に日本の顧客資産を迅速に保護するという、世界に誇るべき成果を生みました。
しかし、その一方で、私たちはその「慎重さ」がもたらした副作用にも目を向けるべきです。事件や被害から国民を守るという「守りの論理」に徹するあまり、グローバルなメガトレンドに対する感度を失い、結果として思考停止に陥ってしまったのではないか。堅牢なルールは築いたものの、その中で走るべきプレイヤーもイノベーションも育たなかった。それがこの数年の現実ではなかったかと、私は考えています。
世界に目を向ければ、先進的なグローバル企業がバランスシートにビットコインを加え、一部の国家はそれを法定通貨や準備資産として採用するなど、暗号資産はすでに「次の金融資産」としてのステージへと移行していました。そのダイナミズムを横目に、日本はただ立ち尽くしていたのです。
かつて2017年には世界をリードする暗号資産大国であった日本が、なぜこれほどの停滞を招いてしまったのか。
その根源は、2018年のコインチェック事件に端を発する市場の混乱にあると私は分析しています。あの一度の挫折と、それに続くバブル崩壊という「過去のトラウマ」に縛られるあまり、この国は「詐欺」「投機」といったレッテルを過度に恐れ、リスクを取ることを放棄してしまった。
イノベーションの芽を自ら摘み取り、みすみす世界のフロントランナーの座から降りてしまったのが、この数年間の日本の偽らざる姿だったのではないでしょうか。
しかし、今回、具体的かつ市場にとってポジティブな政策を掲げる新しい勢力が、国会で無視できない影響力を持つことになりました。
この「ねじれ」とも言える状況は、見方を変えれば、これまで膠着していた議論を動かす絶好の機会となり得ます。その結果、
といった、市場参加者が長らく待ち望んでいた変化が、いよいよ加速する可能性が出てきたのです。
今回の選挙結果がもたらす影響を改めて整理します。
政治の動向は、もはや遠い世界の出来事ではありません。それは私たちの資産ポートフォリオや、自社が関わるビジネスの将来に直結する、無視できない重要なファクターです。
不安定な時代だからこそ、その変化の波の中に隠された新たな成長の可能性を見出し、ご自身のキャリアや資産形成戦略に活かしていく視点が、今、まさに求められているといえます。
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